1月の歌舞伎座 夜の部

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もうすぐ2月の観劇だっていうのに、1月のお芝居がそのままお蔵入りしてました。
張り切って1月2日の初芝居、夜の部へ。さすがに華やいでいてお着物率高いです。しかるべきお着物を持ってる人は、ここで着なけりゃどこで着る?! わたしはいつも通りのユニクロのジーンズで3階へほいほいほいっとナ^^;)

もうそろそろ最後だと思って一眼レフ持参、撮ったのをまとめたのはこちらのアルバムにも。

●春の寿
初日を取った理由は、お正月気分ともうひとつにはここ数年出ていなかった雀右衛門さんを今の歌舞伎座で見るため。体力不安なので途中で休演になったら困るなと思って念を入れて初日。
ああしかし、当日のお昼に「だめです」と電話が掛かってきたそうで(隣のおばさまが、館の人に問いただしたと話していた)、残念ながら休演でありました(たぶん、最後まで休演だったはず)。まあ、、梅玉さんは安心。福助さんも踊りだけで芝居無しなら安心^^;)と、おめでた気分は盛り上がるということで。

●菅原伝授手習鑑 車引
この一幕がこの日の目玉。
歌舞伎ならではの楽しさで大当たり! こういう荒唐無稽で、見た目の楽しさ、所作のおもしろさ、スケール感、やっぱり荒事は歌舞伎の華ですね〜。
いつもいつも力みかえってしゅっしゅぽっぽっブルブル〜ってうるさい幸四郎さんも、この車引きの松王丸だったらいくら力入れていただいてもいいし(笑)、吉右衛門さんの梅王丸、力いっぱいでたいへんたいへん結構。富十郎さんはいつも見る時平より上品なつくりで、かつ口跡明晰華麗&凄みですばらしい。なんと初役の芝翫さん(1928年生まれ)の匂うようななよやか若者桜丸は、歌舞伎ならではのグロ〜い美くしさ。4人とも揃ってこんなけっこうな車引きはもう当分見られないかな。

たとえば丸本もの(文楽と同じ浄瑠璃の本を歌舞伎で演じる場合)、歌舞伎はスターシステムなので、話の筋(合理性とか、つながりとか、心理的な流れとか)を犠牲にしても、中心の役者が魅力的に見えるように改作しちゃうわけですが、それが、演技がよければOKなんだけれど、だめだめの役者がやった場合は、魅力もないし、話もなんだか通じないよなあとどんどん芝居から心が離れ、この人はとうてい美女には見えないし・・・などとぼろぼろになって、ああ、文楽の方がよっぽどいいわとなってしまう。けれども、よい役者と演技に当たった場合は、舞台に照り映えるようなオーラが出るわけで、その当たった時のスケールはやっぱり文楽よりでかい! と、これはそのオーラ出たパターン♪ 保留事項無しに花丸。

●娘道成寺
玉さま、あるいは玉さま×菊之助さんのように、魂が飛ぶほどきれい!という訳ではない・・・
三津五郎さんの、驚くべしおぼこな娘が現前したぞ、というような感じでもない・・・
あとは誰で見たっけな、福助さんと、籐十郎さんとかな。
で、ん〜んとね、もちろん踊りは(たぶんとっても)上手で文句の無いところですが、なんつーか臈長けた、色気はもちろんあるけど、それなりに人生酸いも甘いもな花子さんで、こんなに大人な感じだと、一途に思い詰めて安珍さん追っかけ廻したり取り憑いてたりしなさそう、と思ったことでありました^^;) この世ならぬ・・・という感じが少し足りなかったのかも。
團十郎さんのしゅっしゅっぽっっぽの押し戻し付きで最後華やかに。

●切られ与三
前3つがよかったので、また福助さんがへんなこと始めるんじゃないかと、印象台無しになるよりはいっそ帰ろうかと真剣に悩みましたが、まあ、ちょっともったいないよね、とどきどきしながら残り・・・。
福助さん、久しぶりに抑えめで、口ひん曲げもせず、くにゃくにゃ媚びもうらずで、もうそれだけでありがたいという・・・(なにか彼の役の解釈として「若い」とか「可愛い」という要素が必要だと思うと、あの自爆スイッチが入ってしまうのであろうか? お富さんは姐御だから大丈夫だったのか)。
染五郎若旦那は、そこまでつっころばしか、と思うほどつっころばしだったけど、あれはあれでいいのかな(お富さんが姐さんぽすぎるので、あんなふにゃふにゃな若造に一目惚れするとはとても思えず、S姐さんとM男君と解釈すればあり?)。少なくとも後半の源氏店、ゆすりたかりに来たところからは、あんまりおぼっちゃんのままでなく、もうちょっと墜ちた凄みが欲しいかと。
ちょうど今読んでいる最初にこのお芝居が出来たときに蝙蝠安を演じた三代目中村仲蔵の「手前味噌」という自伝で、工夫したいろいろが書いてあったのでおもしろかった。

※いつものように渡辺保先生の評にリンクを張っておきます。まっとうな評をどうぞ。
(バックナンバーが本になったのに、まだ買ってないや・・・! というか渾身の力作「江戸演劇史」にまだ手が着いてませぬ)

1月は夜の部だけ、昼の部はいきませんでした。

20100102_223.jpg夜の歌舞伎座がいつもより綺麗に撮れたのは、たぶんNHKの中継が入ってライトアップされていたため。
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一、春の寿
 梅玉
 福助
 雀右衛門→魁春

二、菅原伝授手習鑑 車引
 桜丸 芝翫
 梅王丸 吉右衛門
 杉王丸 錦之助  
 金棒引藤内 錦吾
 松王丸 幸四郎
 藤原時平 富十郎

三、京鹿子娘道成寺 道行より押戻しまで
 白拍子花子 勘三郎
 所化 高麗蔵、松江、種太郎、新悟 、種之助、宗之助
 大館左馬五郎 團十郎

四、与話情浮名横櫛 木更津海岸見染の場 源氏店妾宅の場
 切られ与三郎 染五郎
 お富 福助  
 鳶頭金五郎 錦之助  
 番頭藤八 錦吾
 蝙蝠安 彌十郎
 和泉屋多左衛門 歌六

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このページは、かえるが2010年2月12日 16:28に書いたブログ記事です。

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